20140126

2013冬の陣 名古屋・松阪・静岡の旅 その3 名古屋松坂屋の屋上遊園と謎の送水口編

さて、やってきました名古屋松坂屋。
ここはまだ屋上遊園地が残っている素晴らしい百貨店です。








思わず遊んでしまいましたが、ここへ来たのは大切な目的があったからです。これです。



近寄って見ましょう。

大阪高麗橋の送水口を彷彿とさせる望遠鏡的な接続口の送水口です。
きちんと磨かれているオールドプレート。
しかしこれが謎の物件。
アクリルなのに鎖留がある!・・・というのも謎なのですが、このロゴが



NEC というもの。
普通に考えてこれは日本電気であり、このビルに関係があったのかとも思いましたが、
以前に書いた記事
 
http://sousuiko.blogspot.jp/2014/01/blog-post_5.html

からすると、やはりこれは消防設備メーカーのロゴであると思うのです。

松坂屋のこの棟にはもう一つこれと同じ送水口がありました。
こちらはロゴ部の欠損は無し。


そして周囲が改装されたようで窮屈な感じに収まっていました。
また、こちらから見て左側の接続口の縁が交換されていました。


オールドプレートとしては何となくコンパクトで、真鍮に青アクリルという麗しい組み合わせ。
先ほどの記事からしても、このメーカーの商品、いえ作品は芸術品です。
何とかして知りたいものです。


さて、名古屋松坂屋さんは本館、および南館北館の3つから構成されています。
上のオールドプレートは本館のものです。

他は・・もう新しいのだろうなあと思ってちらっと見た北館の送水口。
ああ、ステンレス・・・あれ?

それにしては接続口の縁の部分が異質な感じ。
プレートの輝きも鈍く美しい。
近寄って見ましょう。



まあでもしかし、表示が・・ああっ!!!!!


なんと!!!
きわめて丁寧に磨かれたオールドプレートの上にプラスチック表示をぺったり!
な、なんという・・・
かすかに見えるOとN。


これに気付いたときの私のがっくり加減と言ったら・・・
あれからひと月以上過ぎた今でも思い出して胸が痛くなるほど。
わかりやすくなったので素晴らしいです。取り換えないでいてくれて嬉しいです。
でもでもでも、せめて壁の方に新しい表示板を取り付けてほしかった。


悲しみに打ちひしがれながら、久家大通公園でグリューワインをひっかけて家族に八つ当たりする私でした。
つづく。


20140113

2013冬の陣 名古屋・松阪・静岡の旅 その2


続きです。

繊維街、まだまだ素晴らしい物件がありました。
この電灯見ただけでどきどきするってもんです。

はい、ありました!



壁の塗り直しなどで損傷は激しいですが、きちんと点検もしてある生きたオールドプレートです。


で、あれ?と。思ったわけです。
これ、昨日見つけたものに似てないか?と。



ということで、ちょっと比べてみましょう。
全体的な雰囲気は似ていますが、接続口が大きく異なります。
伝馬町ビルの方はまるい縁だけなのに対して岩田ビルの接続口は高くなっています。
上が中愛株式会社さまのある伝馬町ビル、下が昨日の岩田ビルのもの。





とは言え、これは同じメーカーさまによるものではないか、と思うのはこの文字からです。
伝馬町ビルの方が多少語の間が広いですが、Eの中央の線が少し下気味で短いところ、Tの横棒の長さ、Mの中央の谷が浅いことなど、ほぼ同じようです。



これはつまり、プレートについては基本形は同じ鋳型(のもと)を使っているということ。
部品としての接続口が違っても、同じ場所で作られたのではないかと想像致します。

そう思うとこの伝馬町ビルの送水口を磨いてみたくなってしまいます。




さて、繊維街を出てそろそろ今回の目的地である名古屋市美術館へ向かいます。
その途中で出会った送水口の一部をどうぞ。

シャッター用水圧解放装置までアクリルです!!豪華です・・・!


いや、東京付近が豪華ではないというのではないのですが、目新しくてびっくりしたと。
因みに水圧解放装置についてはこちら。



 防災センター用。アクリルが美しい。
こちらはなんと水圧解放装置が他の送水口と同じプレートに収められています!!
何という心構えのすごさ。恐るべし名古屋。
送水口を設置している箱も立派です。



お次はこちら。
採水口ですが、「消防用水」という表示。
これは珍しいです。そしてわかりやすい。(絶賛)






こちらは恐らく撤去を待つ送水口。


・・・なかなか目的地へたどり着きません。
が、さすがに一旦切り上げて美術館へ。


ハイレッドセンター展をじっくり見て(ほんとです)、再び送水口探索へ。


歩き始めてふと見れば不透明白!
これはアクリルというよりプラスチックのような感じでした。
割板でもないようですし、どうやって使うのか。力技で割るのでしょうか。


看板娘的送水口。名古屋にもはらドーナツがありました。


こちらは上とデザインは似ていますがガテン系(死語ですか?)。


続いて花壇の一部型。



この状態でプレートが必要なのかよくわかりません。
ロゴは立売堀さまのものでした。
ところで今気付きましたが後ろの水道メーター蓋、大胆です。親子蓋になっているのでしょうか?

そういえば、名古屋でよく見たのが細長いというか狭い感じのプレート。
縦双口というのはよくありますが、こんなに細いプレートは東京付近ではあまり見ません。


ということで細いの特集。


真鍮でも



アクリルでも


集合プレートでも 


泡消火でも


ここでも・・・いや、ここは納得。



閉鎖系もいくつか。


なんだか疑われているようです。ごめんなさい。


こちらは見逃してしまいそうな・・この箱の中には静かに古い送水口が眠っているのでしょう。


これは可哀想・・・。


と、切なくなったところでかなり写真の量も多くなって重くなりそうなのでいったん終わります。
つづく。





2013冬の陣 名古屋・松阪・静岡の旅 その1

2013年末の3連休、名古屋に行ってまいりました!!


名古屋駅前の換気塔。
登っていってずずー、と落ちてみたくなる構造です。

名古屋の送水口の特徴は次の3つ。

1:アクリル蓋が圧倒的に多い
2:「放水口位置案内図」が取り付けられている
3:泡消火用送水口が多い

というわけで先ずはいくつかご覧ください。





名古屋駅近くで目立ったのは透明黄色と赤アクリル。
名古屋では、黄色は青と並んで最も新しい部類に入るようです。
つまり、付け替えるときには赤よりも黄色が選ばれている。


「放水口位置案内図」は条令で決められているのだと思います。
関東では、消防設備を一度に、つまり送水口、消火栓、放水口などの一連のものを示す図が取り付けられていることがあります。
地下鉄の駅や高速道路などでは取り付けられていることが多いです。
しかし見ることの方が少ないです。(スプリンクラー設備で送水口が多い場合には消火区域を見分ける必要があるので大体付いていますが。)
しかし、名古屋では9割近くの送水口に設置されていると言っても大げさではないくらい、きちんと案内図が取り付けられていました。


そして泡消火用送水口。
以前船橋の記事を書いたときに少し説明させて頂いたのですが、
名古屋は非常に多く見られました。
放水口位置図などによれば、地下に接続されているものが多いので、駐車場用と思われます。




以上のことから考えると、名古屋では消火設備が非常に丁寧に扱われている、と言えるのではないでしょうか。
実際、上の例でもどの接続口がどの役割かが赤線できちんと分けられていますし、アクリルが透明なものになっているのも、中の様子、特にどちらが開閉弁なのかということもよくわかるようにしているのかと考えます。







因みにこのときどこに向かっているかというとホテルです。
駅から歩いて数分なのに、途中で送水口を撮ったり、送水口を撮ったり、そうす・・・


なかなかたどり着きません。
すっかり暗くなってきてしまいました。


そのときです。


いわたビルディング・・・建て書きが可愛いわりには古い感じ・・・あれれ?


いきなりオールドプレートに遭遇!!



この端正な蓋の縁の造り。
ぴしゃりと決まった文字間。
メーカーロゴはありませんが、透明赤アクリルの古さも手伝ってか完璧な色合い。
うしろの壁との位置合わせも完璧です。


むむ・・(T_T)
名古屋に来てすぐ(最早そうでもないけれど)いいものを見てしまいました。
ちなみに後で調べたら昭和41年物でした。素晴らしい。

思いがけずホテルに到着するのが遅くなったのでさっそく夕食にでかけます。

夕食に行く途中で見かけた地下鉄入口。
うひゃー、かっこいいです!

送水口もこんなにスタイリッシュに!
あいちトリエンナーレの一環だそうですが素晴らしい。
(傘は違うと)



さて、名古屋二日目。
朝からひたすら歩き倒そうということで早起きしました。

先ずは一日目の夜に気になっていたビル街へ。



はい、来ましたオールドプレート!

丹羽幸株式会社さまは明治41年創業の老舗中の老舗。

こちら↓は伝馬町北店。
上にあげた送水口はこの西側面にあります。
すぐ隣に新品の送水口がありますが、そちらは倉庫用。


南側面にもう一つ送水口。


こちらの送水口の右上には点検証が貼られていますが日付けはありません。
無くてはならぬ階数でもありません。もう役目は終えたということでしょうか。

ところでこの送水口、TSというマークだけでなく、SUGAという社名も入っています。すると、ロゴマークの持ち主(?)が判明するわけです。
こういう物件をマンホールの蓋の世界では「ロゼッタストーン」と呼ぶとか。なるほど!
因みにこの須賀工業社さまはマンホールも製造していらっしゃいます。
尚、何故TSかというと須賀工業社創業者さまの名前が「須賀豊治郎」氏と仰ることからそのイニシャルを採用したとか。これもなるほど!!です。

なかなか幸先がいいです!
ほくほくしているとジョージくん(家族)が呼ぶ声。
行ってみると、そこには・・!!

えっ!

えっ!!!



単口!!
・・・です。
しかもこちらは三機工業さまのロゴマーク。



名古屋のまちの中でも、ここは繊維業界の皆様が集まる一画。
その中でも老舗のこの会社。
設置年代は、会社の沿革によると北店が昭和46年、
南店は定礎によると昭和33年。
北店はもうちょっと古いような気がしますが、南店はなるほどの年季です。


いや、素晴らしいです。

まずはオールドプレートと単口をゲット。
ということで探索を続けます。

ひとまず続く。

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(2019年追記 この送水口も建物の解体に伴って撤去されることになりました。単口はすでに送水口博物館に、双口も2020年には救出され、新橋に来る予定です。尚、北店については、建物自体は戦前のものであり、なんとGHQに接収されたとか。その後丹羽幸のものになったようです。)