20141013

憧れの新潟送水口ウォーク 前編  ~旧大和百貨店編~

この夏、ついに実施に至った送水口ナイト。その様子をいつかお伝えしたいと思っています。
けれど、今年頂いたいろいろな写真、毎週撮りためている写真、旅先での記録などなど、お知らせしたいことがたくさんあります。


というわけで、まずは5月31日・6月1日と月をまたいで行った新潟の記録からご紹介させていただきます。

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初夏の朝。始発の新幹線にほぼ比喩でなく飛び乗り、向かったのは新潟駅。
新潟に向かうもともとの目的や私の強引なお願いのくだりをざっくり削って結論だけ申し上げますと、20世紀末から憧れてきた「ご近所路上観察ファイル」管理人のまこさんに新潟の送水口たちを紹介して頂くことになったのです!・・・・ということなのです!わーい!!

待ち合わせは「新潟駅の送水口前」。

いきなりテンション上がります。ま、待ち合わせが送水口前。
何という魅力的なシチュエーション。さすがまこさんです。

記念となるに違いない送水口なので早めに着いて撮影。
興奮していきなり10枚以上撮ってしまいました。
色といい形といい何だかめでたい感じのする送水口です。そして古いのか新しいのか今一つ判断が付かない不思議なデザインです。何より不思議、というか違和感を感じるのはねじ式であるということです。(東京以外では差込式が基本)
あれれ?ちゃんと東京出てきたのに・・・。
因みにこれ、露出Yが一つで頑張っていますが実はスプリンクラー用です。




そうこうしている間にまこさん登場!
相変わらずダンディです!!!
まこさんと初めてお会いしたときの率直な印象は「こ、この方が(ぐふふ)って書いてるのか・・・!??」でした。申し訳ありません。(今言う)

まこさんとは送水口ウォーク以来です。
家族ともどもご挨拶して新潟送水口歩きに出発です!



先ずはこちら。またしても、一見あれれ・・・な送水口です。

三つ並んだプレート。
色を合わせてはいますが、あきらかに左の一つが「仲間はずれ」です。
中央と右はいかにも、のCEC(建設工業社)さまのもの。
左は、見ればホーチキさまのネーム入りです。
接続口も鎖もプレートも、文字も全く異なりますが、取り付けの感じからすると同時期のものでしょう。連結散水とは地下用のスプリンクラー設備を指す用語のようなので地下はホーチキさま、他はCECさまと分けたということでしょうか。違うメーカー様が同じ建物に使われているのはいくつか他にもありますが、やはり出会うとどきっと致します。

ではホーチキさまのアップ。立体的なロゴではないのがちょっと残念です。

因みに立体的なロゴとはこれ。函館で撮ったものです。他に元厚木と高田馬場でも見ました。あとホーチキ社員さまのスーツに。(社員用バッジでした)

続いて建設工業社さまの防火栓と送水口。かなり磨かれているのがわかります。なるほど茶色い送水口はもともとこのような渋い黄金色なのか、と感動します。

そしてこちらもねじ式でした。どういうことでしょう新潟。


と、思っていたらこちらは「THE 差込式」の送水口。う、ううむ・・・。


そんな疑問を解決できぬまま、まこさんおすすめの送水口へ。
非常に長い立管の上に露出Yがくっついております。
自立型としては背が高すぎますし、もともと壁があったとするには下向きのパイプが解せません。手持ちの露出Yをどうにかしようとしたのでしょうか。

「ここからはいっちゃだめだよー」と一生懸命盾になっている感じもします。
蓋は無いけれどねじ式です。

続いて廃ホテルへ。南北さまの綺麗な額縁プレートの送水口です。二点しんにょうの「送」がかっこいいです。赤いぺったんこ蓋も純正品。
ぶらさがっている鎖が哀しさを表現しているかのようです。点検証はついていますが、撤去されるのも時間の問題でしょう。こちらもねじ式。

ホテルの玄関。この英文字のレトロ感がなんとも胸に迫ります。


今回初めて出会った村上製作所さまの送水口。薄いけれど鋭い斜取の凛とした送水口でした。ロゴもついています。このあともねじ式が続きます。

こちらはパイプ部分が傷んでいますが緑青がたまらない風情の送水口。

蓋だけ古い感じの壁埋設。プレートへの映り込みも素敵です。


気に入ったので全体像も掲載。

連結散水用送水口と連結送水口がまとめられて上部に大きく「送水口」と。
消防隊専用、というのが連結送水口のことなのでしょうが一瞬どういうことになっているか迷います。NO4だけが追加で上に設置されているのも不思議です。下の四つはねじの位置もきちんとしているのに、新参者(たぶん)のNO4は荒くれ者の風情です。

などと妄想していたらNO4についているシールに気付きました。
「未使用のため使用禁止」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・??
初心者だからまだ出動されられん!ということ・・・ではもちろんないです。いやむしろ使用経験のある送水口の方が少ないでしょう。もやもやした気持ちが残る物件でした。





気を取り直して。岸本産業さまの典型的な露出Y。白い壁が似合います。

この文字。いつどこでみても麗しい。いつか拓本を取ってみたいとひそかに思っています・・・。

まこさんの案内に従って新潟の街を歩いていきます。
新しい街、まこさんとのおしゃべり。楽しい、楽しすぎます。


ここでぴかぴかの自立型と遭遇。なんという輝き。仏具感濃厚です。

こんなふうに文字を入れている送水口は初めてです。何をはめ込んでいるのかよくわかりません。しかも手書きっぽい。

足元にも確認するかのように「送水口」の文字。消火栓機工さまの特徴である「攻撃的な送」の字体です。S枠にKの字の消火栓機工さまのロゴもありました。嬉しいです。
扇形の部分を別に作って貼るのではなく、彫りこんだ態になっているのも見所です。

以前、銀座でこの物件を見た時に「輪ゴムか!?」と思ってしまいましたが、消火栓機工さまの自立型のロゴ忘れ いえ、ロゴ欠けタイプであると判明しました。新潟のこの送水口は、それを更に裏付ける物件です。



こちらは壁の奥にひっそり設置された送水口。

後ろはこんな感じでした。検査済証はついていましたが・・・。送水口が好きな人には仕組みが見えて嬉しくもありますが、いたずらされないように守ってあげたいものです。


さて、ここで三連採水口。影が可愛いです。
プレートに書かれているのは
「30m先(SP、連送)送水口があります」の文字。や、ここにもSP(スプリンクラー用)ありますが・・と思ったのですがお言葉に従って30m進んでみます。

で、たどり着いたら
「採水口は30m先に・・」という表示。
なんだか仲良しな雰囲気です。(遠いけど)


そろそろお気付きとは思いますが・・・そうです。
新潟市の新しい送水口は全て差込式なのです。
きっと近年に条令が変更され、差込式を基本とするようになったのでしょう。現状のものはともかく、改修や新設などで設置する際に順次差込式に統一していくようになったのだと思います。
・・・と考えていたら、新潟市消防局消防用設備等運用指針2013年版に確かにそのように記載されていました。
個人的にはデザインとしてねじ式が好きなので、新潟でたくさん見ることができて嬉しかったのですが、上記の経緯からすれば、今後新しく設置されることはないというわけです。防災上連携して対応するということはとても大切なことですから、規格が統一されていくことは当然ですし、差込式の方が簡便なことを考えれば自然なことなのですが、ちょっぴり寂しいです。







ところで今回の新潟訪問ですが、実はおめあての送水口がありました。
旧大和百貨店の送水口です。
しかし、一向にその話題が出ません。
えーと、ところで・・と切り出そうとすると突如魅力的な送水口が現れて私の意識はついついそっちへ、というにくいルート設定です。さすがまこさん。
これもその一つ。

壁とともにペンキで塗られてしまい、ウルトラ色になってしまった南北様のまんまる露出Y。ロゴが鎖留になっているタイプですが、一つは蓋なし、一つは日本消火栓設備器具協会のプラキャップということで鎖はありません。残念。

どちらもプレートがくるっと回ってしまっていて、異形な空気を醸し出しています。が、実はこんな立地。ですから道行く人々もその違和感を感じずに済んでいるようです。安心するような悲しいような。(それ以前に送水口の前に物を置いちゃダメですが)




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ちょっとここで「休憩」です。


まこさんが考えてくださったルートは絶妙で、実は送水口以外にもすてきな物がたくさんありました。建物やちょっとした路地。アーケード。そして蓋です。いくつかご紹介します。
いつか本物を見たいと思っていた「消火栓」の文字。


こちらは水道の蓋ということですね。横浜はY.W.Wです。

縁石好きの私も大満足。

この地紋、なんと雪の結晶です。可愛い!!

ときどき違う模様も紛れています。

北陸瓦斯株式会社。

まな板のような量水器蓋。

そして・・・ずっと見たかった燈孔の蓋。
なんて可愛い!


では、そろそろ「休憩」を終わりにして、本編に戻ります。
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はい、やってきました。旧大和百貨店。

まこさんから写真を見せて頂き、ずっとずっと憧れてきた送水口に、ついに会えるのです。
心臓がばくばくしてきました。
ああもうやっぱりいいです!と辞退したくなるくらいどきどきです。
って、ここで帰る意味なんて全くありません。突入です!



あああ

あったーーーーーー!!!!!


あ え ま し た !!!!!!!



この几帳面な英文字。
まさに、まさに村上クオリティの迫力です。

ふわんと浮いた緑青。時の重みを感じさせる銅のにおい。この下に金色の輝きが眠っていると思うと、ふっ・・と意識が飛びそうになります。


ずっと間近で見たかった手書きプレート。いっそ来年のお習字の展覧会にはこれを臨書して出品しようかと思いましたが臨書は禁止なので諦めます。

もちろんついてます、村上製作所ポンプにMのブランドロゴ。鎖端も純正品・・ってあれれ?

実は銀座交詢社ビルディングと同型と思い込んできたのですが、鎖の連結方法も、そして蓋も、明らかに違います。

↑上が新潟。
↓下が銀座。

鎖の付け方や長さからして、銀座の送水口の方が目に慣れています。ということはそちらの方が完成形で広く流布したのかと。となると新潟の方が古いと言えそうです。とはいえどちらの建物も大変古く、建てた当時は送水口は無く、あとからつけたのだと思われます。ですから送水口の設置年代は今一つはっきりしません。ということで、もし間違っていたらすみません。

さて、話を戻して旧大和百貨店の送水口です。
大和百貨店は平成22年に閉店し、店舗はいろいろな方の事情が錯綜して今一つ有効利用がなされていないようです。かつての繁栄を知るこの送水口。軽々しく言うのはいけませんが、やはり時代を語る物品として記念館などに移設してほしいものです。

まこさんから見せて頂いたときは壁面大理石、送水口は毎日磨かれているに違いない黄金の光を放っていました。色合いこそ時代とともに変化していましたが、その醸し出す威厳は素晴らしいものでした。

いろいろな角度から撮影しても足りず、動画(私が動く)まで撮影し、さんざんまこさんと家族を待たせる私。しかしどうにも離れ難いです。ずっと見ていたい・・・・。

「お昼ご飯食べられなくなるよ」と家族に言われてふと我に返り、泣く泣く別れを告げたのでした。
さらば地球よ・・ではなくさらば旧大和送水口・・・・



旧大和送水口のそばにあった遠距離恋愛送水口。
なぜかというと

こうなっているのです。おわかりでしょうか。

まるで「サイヤとミーズ」のようではありませんか!!
といってもこの送水口の場合は抜け出すのがかなり難しそうです。



続けて上下二段の送水口。この辺りラブラブ感高いです。Yukiさんのコメントにより「タイタニック型」と呼ぼうかと(*^_^*)・・・どこからかBGMが聴こえてきそうです!


そして昼食。午後は家族の目的であった新潟路地連さまのイベントにまこさんとともに参加させていただきました。その中でもこそこそ送水口を撮ってはいたのですが・・・さすがに長くなってきましたので次回に続きます。