横浜市中区にある関内駅周辺。
関内と言えば、
キング(県庁)、クイーン(市税関)、ジャック(市開港記念会館)、エース(県立歴史博物館)
の4つの古き良き塔とドームが有名です。
しかしもう1セット。4つの古き良き送水口があるのです。
開港の歴史色濃く残るこの街には、私の知る限りオールドプレート(英語表記の送水口)が四か所にあります。
8月29日に行われる送水口ナイトの企画会議をここで行い、その後これらの送水口を巡ってみました。
奇しくもその正面に3塔が一望できるスポットのある県庁分館。
ここに一つ目のオールドプレートがあります。
硬質プラスチック蓋の色が美しい村上製作所製オールドプレート。
もともとねじ式だったものをホース接続のゴムを使って差込式に変換しているようです。
残念ながら鎖も蓋も純正ではありませんが、本体と飾り板はあの交詢社ビルのものと同型です。
SIAMESEの後には、ピリオドもあります。
ふつうここには打たない・・と思われる向きもあるでしょうが、送水口ファンにとっては村上様のものだと識別できる貴重な膨らみです。ほんの、このわずかな点にさえ美しい輝きを遺すその技術。
我々はこれを「奇跡のピリオド」と呼んでもよいのではないでしょうか。
なお、この型の送水口は接続口同士の角度が75度。
先日撤去した建設工業社様のものが120度です。
90度のものも多いです。
同じ露出Yであってもそれぞれ個性がある、その根拠が数字でわかると嬉しいものです。
二つ目はこちら。同じく村上製作所製の送水口がこの横濱ビルにあります。
手前には新しい送水口達が見られます。
つまり、ここの送水口はもう退役しているということ。
しかし知る限り三ケ所しかないこの扇状プレートは貫禄充分。
(ここには二つ設置されています)
あとの二つは小伝馬町の滋賀銀行、そして釜石市役所です。
思えば、ここに「MURAKAMI」とあったにもかかわらず、この名前と「Mに水流」のロゴマークがなかなか結び付きませんでした。それが繋がって、さらにいろいろな方々との結びつきができました。手を合わせたくなる送水口です。
そして、ご覧下さい。この文字のエッジ。
村上製作所製の送水口の飾り板は文字も一緒に鋳造しているのだそうです。
このように文字の凸部の断面を台形にすることで、鋳型から抜き出しやすくなっているということです。
オールドプレート数あれど、文字を別で造って接着或いはビス留めしているものも多いようです。中にはシール状のものもあります。ですから文字が上下にずれていたり、一部がとれていたりするものもあるのです。
その中で、一体鋳造で多くの手間と技術を注ぎ込まれた村上製作所製の送水口は、いつまでも美しく整った姿を保ち続けているのです。
ここからはCEC、かの建設工業社さまの送水口です。
これは日土地横浜ビルのもの。
あまり見慣れないデザインですが、よく見れば雨がたまらず表示も汚れにくい額縁仕上げ。
しかも飾り板と同じ真鍮でつくってある高級オーダー品だと思われます。
しかし何となくいつもの建設工業社様の字体と違います。そわそわ。
比べてみましょう。
最初に同じ建設工業社様作、須賀工業様設置(と思われる)の送水口。兜町。
夜だったので不鮮明ですが(T_T)
文字部を拡大。
日土地のもの↓と比べると、兜町のものは文字もスマート、Mの中が下まで来ているのは同じですが、Eの横棒の長さ、字間などいろいろと違うようです。
そういえば少し太めのものもあったなあということで、長岡、東京、名古屋などに遺る「スターウォーズ型」CEC壁埋設の字体です。
かなり違います。
因みにこちらがは露出Y型の英文字。ブリヂストン美術館のもの。
こちらは横浜駅相鉄口正面の単口オールドの英文字。
ということで、何となく不思議な一品でした。
余談ですが、この送水口をみんなで見ていましたら、研修後と仰るご婦人お二人が「なあに、それ?」と興味をもってくださり、「あら、知ってよかったわあ。今まで気付いていなかったもの」と喜んで写真を撮っていかれました。
こちらこそ、嬉しいことです。
最後に須賀さま印。
さて、今回のトリがこちら。
関内駅前の大和銀行ビル。今ではリストビルと呼ばれています。
THE CEC とでもいうべきこの姿。
何とも言えぬこの色合いと佇まい。まさに風格ある銀行の壁を飾るにふさわしい趣です。
というわけで皆様、夏休みの横浜観光は塔やドームだけでなく、ぜひオールド送水口も巡ってみてください。
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