20220103

雪の中にたたずむ送水口たちに会ってきました  ~その1「わかめさんとオット氏さんの素敵な写真展」編~

北海道で送水口活動をするソースイコーニストのわかめさんが、送水口の写真展を開催することになりました。行きたい行きたい行きたい!!!!!

…というわけで、2021年も残りわずかという12月29日。冬の札幌へと出発しました。

しかし寒さに弱い私…わかめさんに冬の札幌に耐えるための服装やら心構えやらについていろいろと教えていただきつつ、何とか二日間乗り切ることができました。

いえ、「乗り切る」どころか、この上なく素敵な写真展を「体験」し、冬の札幌の美しさ、冬ならではの食べる楽しみ…そして、何より雪の中、送水口たちの見たことのない姿を堪能できた、本当に幸せな旅になったのです。

一泊二日という短い旅ではありましたが、たくさんの感動を頂きました。感謝をこめて記事を書いていきたいと思います!

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一日目、早朝の便で新千歳空港へ。
何と澄んだ空の色よ。


ところで私、「前略 雲の上より」に出会って以来、空港逍遥が趣味になりました。ちなみに新千歳空港は2巻で登場しています。桐谷くん…!(主人公)と呟きつつ空港内をお散歩してみましょう。



先ずは送水口にご挨拶。なんだか綺麗になっているような気がします。場所が違うのかな。




…と思いましたがやっぱり綺麗になっていたようです。
こちらは2017年の夏の写真。↓




屋内に戻りましょう。
放水口表示の大きな消火栓。


チョコレート工場と消火栓。

国際線方面へ。


送水口と採水口、一基ずつ


ここの見どころは、位置図の凡例です。色分けしていて見やすいです。半分のものも記載してある丁寧さ。どれも接続口部分が小さくてかわいいです。マンホール表示、しかもサイズ付きが書いてあるのは珍しいですね。CBはチャッキバルブでしょうか。もしかして凍結を防ぐためにこうなっているのかな?



さて、わかめさんとの待ち合わせ時刻が近づいてきました。
桐谷くんが彷徨ったお店ジャングルに圧倒されつつ、最近はまっているジンギスカンのジンくんのキャラクター本を購入して空港を出発します。


写真展最寄り駅まで電車を乗り継ぎます。
駅から目的地まで寄り道はしないつもりでしたが、村上さんを見つけてしまい撮影。
こんにちは。


雪の国ならではの風景!撮影撮影

健気…

消火栓も健気…



採水口も健気…

そして誇り高い

気が付けば会場の目の前でした。


入口の様子。わくわく感が高まります。



一枚一枚の写真から愛があふれ、札幌の町の時間が流れだしています。
それぞれにドラマが感じられ、それを見つめるわかめさんの優しい視線に胸をうたれたり、
説明文から消防設備に対する造詣の深さに尊敬の念を覚えたり…


このブログではわかめさんに許可を頂いた数枚の写真だけ紹介しますが、
会場には大小様々な送水口の写真がこれでもかこれでもかと展示してありました。


もう何時間でも、いや何日でもいられる。
住みたい。


そして、どうしても現物を見て頂きたいのがこちら。
以前、東京で送水口ナイトをしたときに持ってきていただいたものですが、
この破壊力たるや…


見てください、この可愛さ繊細さ!!!
超!絶!技!巧!という言葉を本気で使いました。

だってこれ、本当に手のひらサイズなんですよ。
わかめさん、創造主か。神様なのか。


ああ、ここをきゅるきゅる、と回してホースを繋げる小さい消防士さんの姿が見える…


にしても、小さい送水口でも、ついつい本物と同じような角度で撮影してしまうのって面白いですね。


会場にはわかめさんの文章がいくつも掲示してあったのですが、
ここでは入口にあった愛しい愛しい一枚の一部を紹介させていただきます。
なんですかこの可愛さ。
送水口たちが私たちをあたたかくお迎えして、
素敵な言葉かけまでしてくれているんですよ。
幸せな世界過ぎる。この絵の中に入りたい。



わかめさんの写真はこのカフェの構造を上手に使っていろいろな部分を送水口ワールドに変換していたのですが、オット氏さんの展示室は一室まるごと神聖な場所のようになっていて、圧倒されるばかりでした。お二人とも、それぞれがそれぞれの世界を創っている。偉大というか憧れるというか、かっこいいというか…もう本当に好き。

残念ながら、私が訪れた翌日をもって写真展は終了。
会場のインタープレイというカフェも、翌日が最終日、閉店だったそうです。
お店の最後を飾ったお二人の写真…
お店が大好き、と語っていたお二人だけでなく、
お店を愛する方々が次々とやってきていました。
素敵なお店だったのだろうな。

思い出をありがとうございました。
わかめさんが愛したここの風景を、私も忘れません。


たくさんお喋りして、おなかもいっぱいになって、
離れがたいけどお別れして、
でもコーフンが収まらなくて、40分くらいかけてホテルまで歩いてしまいました。
(遠かった)

その夜に出会った送水口たち。

あっ、また会いましたね



雪の重さで傾いてます(違う

ひっそりとCEC


タオルで雪をしのぎます

整列!(一人気付いてない)

潜伏中

送水口界隈で人気のある(?)
「自分のことは自分でするタイプ」の送水口

仲良くしよう

ぎゅいーん送水口ですが

乾式ということでもないようです。
本州なら本体付近に逆止弁や止水弁があるのですが、
それが割と奥の方や地下にあるようで、露出配管の部分は水がなくて済むようになっているのかな?と素人目線で思った次第。


今回は一泊二日。
明日は街をちょっとだけ歩いてみましょう。続く!

20210805

なんでこんな形なの?

 この送水口、どうして接続口が本体に対して鋭角なんだろう…?こんな質問を頂きました。




コメントでお答えするには長くなってしまったので一枚の記事にしてみました。


その1 下向きの理由

何故このように鋭角、というか下向きなのかというと、

「消防士さんがホースを繋いだ時に、折れ曲がらないように」であろうかと思います。

確かに、「だったらもっと下のほうに接続口を付ければ…」というお考えも出てくるわけですが、法令により、送水口の接続口は地面から0.5~1mの範囲と決まっています。その中で上記のことを観点として開発した場合にあの形になったのかと思われます。ちなみに、その高さの設定ですが、消防士さんが操作しやすいように、そして目視で見つかりやすいように、とのことであると考えています。

ところで私、この送水口を見たときには、「水を入れたときに凄く負荷がかかるのでは」と思いました。おそらくこのご質問もそのことから発せられたような気がいたします。しかし、通常よく見る送水口が90度だとしたら、これは下向きに15度ほど下を向いているだけなので、その点での困難はないようです。

それよりも「下向き」のほうが優先されるとのことだったのでしょう。広島では、↓のような送水口を見ました。90度の接続口に下向きのエルボアダプタが付いていたのです。





その2 製造中止

ところでこの送水口、検索しても見つかりにくい…とのことですが、仰る通りで、実はもう製造が中止されているのです。新製品へと切り替わったのは2016年。

おっとその前に、この送水口は立売堀製作所製、きちんとした認定品です。(認送074)

立売堀製作所様は、本店を滋賀県、本社を大阪府、そして工場を三つももつ送水口業界では現在最大手と言ってもよいメーカー様です。送水口を自らの会社内ですべての部品も含めて造り上げることができます。

さて話を戻しましょう。

この下向き送水口の製造が中止されたのは2016年。主力製品の一つだったようで、このようなお知らせも出ています。

縦スタンド型送水口変更のお知らせ


その3 変わり行く送水口

アダプタを付けるほどに求められて(?)生産されたはずの下向き送水口…それがなぜ生産中止になったのでしょうか。それは、先ほどの「縦スタンド型送水口変更のお知らせ」にあったように、立売堀製作所様が新たな送水口を開発したからかと思われます。

新しい送水口は、この5年間でぶわーーーーっと広まりました。こんなにも送水口って新しく作られ、そして取り換えられていくのだと実感できました。新型感染症が広まる前に行った台湾でも見たくらいです。

新しい送水口は、下向き送水口よりも場所を取りません。だんだんとスマート化がなされている送水口の世界。「ここまで来たんだなあ」と思ったのを覚えています。



そんなわけで、下向き送水口は、今後減ることはあっても新たに取り付けられることはないと思います。ですから、下向き送水口を見かけたら写真を撮影したり、声をかけたり(?)してその存在を味わって頂けると送水口も立売堀様も嬉しいかと存じます。もちろん私も嬉しいです。

以上、思いつくままに書いてみましたが、足りないところがありましたらまたお知らせください。
尚、今回も送水口博物館館長である村上善一様にお知恵を頂きました。感謝いたします。

20210714

改修成功!!昭和40年生まれの村上壁埋設

関東某所。
村上壁埋設、蓋と鎖は既に純正品ではありません。
いえ、はじめから付いていなかったのかもしれません。(プラキャップ仕様で)
鎖留は飾り板の下(壁)。




これを、村上製作所(送水口博物館館長)が修理します。
パッキンを交換するのです。

実はこの二週間前、交換をするために接続口の中に道具を入れて
回転させて弁体ごと引き出そうとした結果
その取っ掛かりとなるダボが折れてしまいました。
村上送水口は接続口から逆止弁までが一体となっており、
「それらが年数を経て固着してしまったよう」だそうです。

そんなわけで、一度現場から引きあげ
再度、改修の匠お二人を引き連れて再挑戦に挑んだ館長。
今後、数十年だって、いえもっと活躍してもらうために
パッキンだけでなく、
接続口と弁体がセットになっている部品をまるっと交換することになったそうです。



蓋を外した送水口と対峙する匠

硝子が割れないように防炎シートでガード

今回、匠が準備した道具の一つ。
(いろいろ、本当にいろいろありました。大興奮)

これを、こうして、こう

ぐりぐり

動きません。

仕方がないのでバーナーであぶって
接続口周りの缶ぽっくり部分を撤去。



熱いので冷やされる缶ぽっくり。
生け簀…(可愛い)

ようやく接続口部分が露出しました。
差込式なので回転に使える出っ張りが少ない。
回すのが大変です。

救出作業の時には恒例となったこの道具。この光景。

それでも接続口は回りません。
匠はトンカチを持ってきました。
(「大きなかぶ」ふう)


炎天下。

暑いのに
バーナーで焙られた送水口。
「いや、こっちも熱いんだよねえ」とも言わず
じっと次の作業を待ちます。
改修部隊は水分補給。
この辺りの夏は洒落にならないねっとりとした暑さが有名。
探索で何回死にそうになったことか。

接続口周りが焙られて変色しています。
ちょっと切ない

戦闘再開。

接続口の一部を切り取り、
固着部分がはがれるようにスペースを作ってあげてから回す作戦。
そうとう時間がかかっています。


功を奏したようで、接続口に動きが!



接続口と
接続口で抑えられていた飾り板が外れました。
お疲れさまでした。
とはいえまだ工程の半分。





ぽっかり



ここに新しい接続口をはめ込む作業が残っています。
匠はその作業に移ります。



一方、館長は飾り板の磨き作業へ。
先ずはまんべんなくピカールを塗布。
緑青が浮き上がってきたら
えいやえいやと擦ります。

…という作業を何回も繰り返し


ようやく文字部分が光ってきました。
嬉しい!



飾り板が積年の汚れを落としている間に
接続口部分が設置されました。
すごい!

飾り板を置いてからこの作業(接続口と弁体をすぽんと入れる)
をするのかと思っていたら違うのですね。
ふむふむ

おっとここで飾り板に動きが

えっ

穴を
開ける?

ある時期(昭和40年代前後)の村上送水口の一部には
鎖留が無いものがあります。
よって、取り付けるために!穴を!開けるんだって!!
と驚いている間に取り付けられている鎖留。
早業過ぎる。



接続口+弁体
飾り板
接続口キャップ
鎖を鎖留に
完成!


キャップもきらきら
文字もきらきら


実はこの匠
送水口ファンの間では有名な改修事例
「銀座の中島商事ビル」の方だったのです!なるほど!
(ほらほら、あの『ねじ式が差込式に替わっていたにも関わらず、あまりの技術でその外観がほとんど変わらずにしばらく気付かれなかった事件』ですよ)



これで次の日から建物で働く方や
利用する方が
「おっ、綺麗になったねえ」
と喜んでくれるはず。そうだといいなあ。


おまけ

磨き作業の下敷きになっていたタオルと
そのタオルに転写(?)された送水口。




お疲れさまでした!
そして
取材させて頂いて本当にありがとうございました。

この作業の動画(あまり上手くない…)は、送水口博物館で観ることができます。
ご要望がある場合はソーハクにてお声かけください。